世界の神話と日本の神話【牛族と竜蛇族】

古代日本と世界
こんにちは、はっさくです。

今回は、世界と日本の似たような神話のご紹介と、

そこから見えてくる古代の人々の考え方を、

みなさんと一緒に考察していこうと思います。

竜蛇族と牛族

世界中の神話の中で、建国に関する神話には共通することがあります。

竜蛇族と言われる竜(蛇)信仰の人々(トーテムは蛇)と

神の使役を牛とする人々(トーテムは牛)の争いです。

そして、必ず牛族が勝利し、竜蛇神は悪とされ

竜蛇族の姫は人質として、牛族の王と婚姻関係を結びます。

竜蛇神は、牛族が信仰する神より下になり

さらには、牛族の王の支配下に置かれます。

竜蛇神を完全に無くしてしまわないのは、竜蛇信仰の人々の反抗を恐れてのことでしょう。




なぜ、必ず牛族が勝つのか―――



それは、竜蛇族は半農半漁で、国を宗教で治め、武器は持たず平和を愛す民族だったから。




騎馬系の牛族が、征服するのは容易かったと思われます。

そして、歴史は勝者のものです。

どんなに汚い手を使って勝利したとしても、

負けた側を完全悪に仕立て上げることができるのです。

世界の神話の中の「竜蛇族と牛族」

《アーリア人の古典から》

「リグ・ヴェーダ」に、インドラ(牛の王)は

蛇族の初生児なるものアヒ(蛇)を殺せリとある。


《キリストも牛族》

旧約聖書「悪魔であり、サタンである竜、すなわち、

かの年を経たへびを捕らえて千年間つなぎおき、

諸国民を迷わすことのないようにしておいた。」


《釈迦も牛族》

釈迦=ゴータマシッダールタ

ゴータマは「最上の牛を持てる者」という意味。

種族はサーキア族(釈迦族)で紋章はすべて、牛族に共通する太陽神を表す。

紀元前600~700年、サーキア族はヒマラヤ方面から中インドのカビラ周辺に侵攻。

この地域に住んでいたのが、竜神ナーガとナーギニーを奉じるコーリヤ人。

サーキア族侵攻 ⇒ コーリヤ族の王女マカマヤ(マヤ)を妻に ⇒ 生まれたのが釈迦

サーキア族とコーリヤ族は、仇敵同士であるため、

竜神は、サーキア族を守護するわけないし、

逆に、仏教に真の竜神はいないと思われます。


《東南アジア》

ほとんどの国に、

「王朝の始祖が、竜女(ナーギ)の化身である超自然的な女性を妻とし、英雄王を生んだ」

という建国説話が残っている。

カンボジアの扶南国(前一世紀)では、

バラモンの王子がこの地を征服し、竜王の娘ソーマ(月の意味)を娶る。

ミャンマーのパラウン族では、

スサンデと呼ぶ竜女が、日の王子と結ばれて、三個の卵を産み、三人の王が生まれた。


《世界最古の都市国家 シュメール》

バビロンの最高神マルドゥクは、天地創造神話で、

竜蛇体のティアマトを征服し、世界の秩序を回復する。

マルドゥクは竜神とされていますが、竜蛇族を制圧したからで、

その後、竜は神から神使へと格下げされていきます。

しかし、遺跡や遺物に竜があしらわれていることから、

竜神を完全に無視できなかったと思われます。


《古代エジプト》

シュメールと密接な関係にあった古代エジプト人も、元は竜蛇族(コブラ信仰)でした。

ツタンカーメン、クレオパトラの王冠の前部に付されているのは、

コブラ女神ウレウスです。

古第一王朝から第五王朝まで竜蛇族でした。

後に、太陽信仰の牛族や、鳥族と混血。(太陽神ラーは有名ですね。)

聖猫が、悪の象徴アポピ蛇を殺す壁画があります。

「死者の書」に

おお、アポピよ、汝、太陽神ラーの敵よ

とあり、蛇を悪の権化に仕立て上げた様子がわかります。


《ギリシャ神話の最大の英雄 ヘラクレス》

ヘラクレスが生後八ヶ月のとき、命を狙うヘラはゆりかごに二匹の蛇を放ちます。

しかし、アルゴスの将来の王と言われたヘラクレスは、

蛇を恐れず両手で絞め殺します。

大人になったヘラクレスは、さらに、

九つの頭を持つ水蛇ヒュドラを、甥の助力を得て退治します。

スキタイ王国の伝承では、

ヘラクレスは寝ている間に馬を奪われる。

馬を探しているとき、洞窟の中で、上半身は娘、下半身は蛇の蛇女を見つける。

蛇女は、自分と交われば馬を返すと言う。

この交わりによって、三人の子が生まれた。

そのうちの一人スキュテスの末裔が、スキタイ王国の代々の王である。

古代日本の「竜蛇族と牛族」の痕跡

古代日本の神話にも、牛族による、竜蛇族征服神話があります。

有名な神話なので、そういう見かたがあったのかと思われると思いますよ。


《スサノオのヤマタノオロチ退治》

この神話の前提として、スサノオは牛族です。

スサノオは別名「牛頭天王ごずてんのう」と呼ばれています。

これは、「牛の角を生やしたような冠をかぶった貴人」という意味があります。

このような人々は、朝鮮から度々日本へ渡って来ていた記述があります。



日本書紀 垂仁天皇の条で

「額に角のある人が船に乗って、越の国(福井県)のけひ(気比)浦にやってきた。

そこで、この地を名付けて、角館つぬが(敦賀)という。

その人に、どこの国の者かとたずねたら、こう答えた。

オホカラ国(任那加羅みまなから)の王子で、

名をツヌガアラシト、別名ウシキアリシチカンキという。」

(ツヌガアラシト=角がある人、ウシキアリ=額に角のある人)




「牛頭」は朝鮮の地名でソシモリと言い、

日本書紀にも、スサノオがソシモリに行ったことが記されています。


神話を大まかに…

出雲の肥の川の上流に降り立ったスサノオ。

見つけた人家に住む、老夫婦と娘から話を聞く。

老夫婦には娘が八人いたが、毎年、コシのヤマタノオロチがやってきて、

娘を一人ずつ食べていく。

今年は、最後の娘 クシナダヒメも食べられてしまう。

ヤマタノオロチは、頭と尾が8つあり、目はほおずきのように赤く、

巨大な体に桧や杉が生え、長さは谷8つ山8つに及び、

腹は血にただれていた。

スサノオは、ヤマタノオロチを退治したら、

クシナダヒメを妻としてもらい受けたいと言い、

十拳の剣でオロチ退治をやってのける。



ここで、はっさくの考察をします。

何度か出てくる「8」はたくさんという意味です。

この時代は、長子でなく、末子が家を継いでいました。

コシ=越(福井県)で、この地方にいた竜神信仰の竜蛇族(出雲神族)を征服し、

竜蛇族の正統な継承者クシナダヒメを嫁取りします。

ヤマタノオロチの表現がおどろおどろしいのは、

竜神を悪に落とす意図があると思われます。

これは、世界の建国神話と同じですね。

終わりに

スサノオを竜神としている所がありますが、

バビロンの主神マルドゥクが竜神、釈迦が竜王と呼ばれたように

「征服した種族(竜蛇族)の上に立つ王者」と言う意味で、

本来の竜神とは関係ありません。


よく、日本の神話は大陸から入ってきて、形を変えたと聞きますが、

はっさくは、全てそうだとは思いません。

古代日本には、色々な民族が入ってきていました。

神話自体が入ってきたというよりも、

征服し、王の娘を嫁に取るという風習を持った民族が、

古代日本にやってきて、同じことをしたという方が、あっていると思います。


同じ思想を持った民族が、世界中に移動し、同時多発的に同じようなことが起こったのです。


世界は人でつながっている、そう思いませんか。

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