【三種の神器】草薙の剣とヤマタノオロチ伝説【古代出雲から大和へ】

出雲の神様
こんにちは、はっさくです。


今回は、奥出雲たたらと刀剣館に行ってきました。


ここには神楽で用いる「天叢雲剣あめのむらくものつるぎ」が展示されています。

ん?伝説の草薙の剣(天叢雲剣)ってスサノオが持っていたのに、どうして皇族の三種の神器になったんだろう?なんて思いながら、展示物を見学してきました。

草薙の剣のことを深堀りしながら、この謎の答えに近づいていきたいと思います。

草薙の剣(天叢雲剣)

皆さんは三種の神器、ご存知でしょうか。
正統な天皇であることを示す宝器です。

そのうちのひとつ【草薙の剣くさなぎのつるぎ】を色々な角度から考察していきたいと思います。

神話の中の剣
  スサノオがヤマタノオロチを退治したとき、尾の中から見つけます。
  「不思議な剣だ。どうして私物にできようか。」
  と言い、高天原の神々に献上します。
  
現在、実物は名古屋の熱田神宮にあります。

古事記では「宝物」で「神器」とは呼ばれていません。
日本書紀では「天皇の御印」は「鏡と剣」で、他の歴史書でも二種とあることから
元は「三種の神器」ではなく、「二種の宝物」であったと思われます。

ヤマタノオロチとたたら製鉄

島根県の奥出雲は、古代から江戸時代まで製鉄が盛んでした。

製鉄に必要な砂鉄が豊富だったからです。


ところで、ヤマタノオロチの表現に

「血にただれた腹、ほおずきのような赤い目」

というのがあります。


はっさくが思うに、これは、製鉄している時の鉄の様子を表したものではないでしょうか。

斐伊川上流には、ヤマタノオロチ伝説が点在しています。
製鉄に関わった地域が、広範囲であったということでしょう。


このことと、斐伊川の氾濫、中国から入ってきた神話が合わさって
後世、古事記が編さんされた頃、
日本版「ヤマタノオロチ伝説」が完成したのではないでしょうか。

スサノオは天下る前、新羅にいたとされていることから、
朝鮮から、製鉄技術を持ってきた渡来人だったと推察します。


そしてこの剣は、戦いのものではなく祭祀に使うものでした。
技術が渡来したころは、鉄製品はとても貴重だったのでしょうね。

草薙の剣が熱田神宮へ行くまで

岡山県に石上布都魂神社(いそのかみふつのみたまじんじゃ)があります。
ここには、出雲から移った「草薙の剣」の後日談が存在します。

上記の社に「今 吉備の神部かむとものをに(神主)の許に在り」と記されています。
そしてその後、崇神天皇の時代に大和へ移されました。

古代出雲と吉備国の繋がりの裏付けとして
吉備独特の土器である、特殊器台(円筒埴輪の前身)が出雲でも発見されています。

「草薙の剣」が吉備国にあったとされている頃、
吉備国は古代王国最大勢力でした。
製塩と製鉄が盛んでした。

そして、大和政権になった後に
その当時、政権の2大勢力のうちのひとつの「物部もののべ氏」が
奈良にある「石上神宮いそのかみじんぐう」を任されることとなります。

吉備きび国の石上布都魂神社と大和の石上神宮、名前が似ています。

そして現在も石上布都魂神社の宮司は「物部」の姓です。

きっとこの2つの社は関係があると思われます。

物部氏の本拠地とされる、天理市の布留ふる遺跡からは製鉄所跡と鉄製品が発見されています。

ここから、はっさくの考察に入ります。

良質な砂鉄が多く採れ、製鉄技術が発展し、最初の大きな勢力であった古代出雲から
交易によって、製鉄技術が吉備国に伝わったのだと思われます。

元々「草薙の剣」が古代出雲にあったかどうかは、疑問です。
吉備国が製鉄により発展し、技術も進み良質な剣が出来たとします。

この素晴らしい剣を世に知らしめるために
剣に伝説を付与したのではないでしょうか。

そして大和の時代になり、物部氏が吉備国をおさえ
製鉄技術を我が物とし
伝説を付けた剣を天皇に献上したのではないでしょうか。

物部氏の地位を確固たるものにするために…

終わりに

大和に製鉄技術をおさえられた吉備国は衰退していきます。

元々のは祭祀のためのものでした。

大和政権の頃には、戦いの道具になりました。

始まりの出雲から、古代王国最大の吉備国へ
吉備国から大和政権へ

力が強い国へ神宝の剣は移っていきます。

大和政権にとって「草薙の剣」とは
製鉄技術によって得られる富と
軍事を象徴していたのではないでしょうか。

砂鉄の産地と製鉄技術が、喉から手が出るほど欲しかったでしょうね。
それらを持っている国をピンポイントにおさえていく大和政権をみると、
そう思わざるを得ません。

そしてこの宝は天孫族(大和勢)が持つのに相応しいと流布したかったでしょう。
奪い取ったものなんて言えませんもの…(一番尊い天孫族が)

とはいえ、「草薙の剣」後世にずっと伝えてほしいです。
古代日本が大事にしてきた技術と想いが詰まっているから。

今は日本人のです。


日本書紀や、古事記には載っていない「外伝」みたいなものが各地方に存在します。
案外そっちのほうが、真実に近いのかもしれませんよ。

どうです?日本中の伝説を知りたくなってきたでしょう?

また、はっさくと一緒に古代日本にタイムスリップしてみませんか。

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