【猪目洞窟と黄泉比良坂】死を恐れ生を渇望した古代人【風葬と鳥信仰】

出雲の神様
こんにちは、はっさくです。

今回は、黄泉比良坂よもつひらさかでなく、

もうひとつの黄泉の国の入り口といわれる、猪目洞窟いのめどうくつに行ってきました。

すぐ横は、漁船の船着き場で、波の音が優しく聞こえ人もほとんど見かけない場所です。

はたして、どちらが黄泉の入り口なのでしょうか。

黄泉の国とはどこにあるのでしょうか。

黄泉比良坂と猪目洞窟

黄泉比良坂
猪目洞窟
黄泉比良坂

昭和15年に佐藤忠次郎という人物が建てたもの。

それ以前は畑。

古事記にて、現し世と黄泉の国の境、そこは伊賦夜坂いふやさかと書かれている。

近くに揖夜神社があり、神社の古名が伊賦夜社いふやのやしろである。

隣接する安来の比婆山には、関連神蹟としてイザナミの神陵がある。


猪目洞窟

昭和23年漁船の船置き場として拡張工事の際、発見される。

縄文式土器、弥生式土器、土師器、須恵器等とともに、

数十体の人骨が見つかる。

出雲国風土記にて、

「夢にこの磯の窟の辺りに至れば、必ず死ぬ。
 故、俗人古より今に至るまで、
 黄泉の坂、黄泉の穴と名づくるなり。」

とあり、黄泉の穴はここであると言っている。

記紀神話のイザナギとイザナミ

イザナギは先に死んだイザナミへ会いに行く。

イザナミは「黄泉の国の食べ物を食べて汚れたけれど、

帰りたいので黄泉の国の神々に相談します。

その間どうか私を見ないで下さい。」と言う。

しかし、イザナギは愛するイザナミの醜く崩れた姿を見てしまう。

醜い姿を見られたイザナミは激怒し、イザナギを追う。

黄泉比良坂にたどり着いたイザナギは、

坂を千引の岩でふさぎ、離縁を告げる。


醜い体(うじが這っているという表現があり)を火を灯して見ていますが、

その他の状況では、火を灯さずに見ていることから、

黄泉の国は地下ではないと考察します。

古代の風葬と、鳥と龍蛇の信仰

口伝では、古代出雲は風葬であったと言います。

出雲人は、高貴な人が他界すると、

籐と竹で編んだかごに入れ、高い山の常緑樹に吊るし鳥に食べさせました。

3年過ぎると降ろし、骨を洗い山に埋めました。

後にこの常緑樹(桧、杉)が御神木になり、

高い山で魂を天に還す考え方が、磐座信仰または山岳信仰に変わりました。


鳥を神の使役とする、大陸からやってきたこの考え方は、

出雲人だけでなく、天孫族(皇族)にもあったようで、

記紀神話で、たくさんの鳥が天孫族のために(主に命に関わる話)働きます。

天孫族のトーテムは鳥です。(皇室は鶴ですね。)

ヨーロッパなどで、コウノトリが赤ちゃんを運んでくるというのも

鳥が古い魂を天に還し、新しい命を運んでくるという鳥信仰でしょう。


天の岩戸伝説では、閉じこもったアマテラスを表に引き出すために、

「常世の長鳴き鶏」を集めて互いに長鳴きさせます。

これは、暗い夜を終わらせ、太陽を復活させるという、

死から生への鳥を使った儀式だと思われます。


天孫族(皇族)や出雲国造などの渡来人が来るずっと前から

古代日本に根付いていた出雲人は、さらに、龍蛇神信仰でした。

鳥が古い魂を天に還し、龍蛇が海の向こうから新しい命を授けるという考えでしょうか。

蛇もまた、脱皮する姿から生まれ変わりの象徴で、

古代の人々は死を恐れ、

しかしその先に還ってくる魂があることを信じたのではないでしょうか。

終わりに

黄泉の入り口は、猪目洞窟でも黄泉比良坂でもないでしょう。

黄泉の国はどこにあるのか。

それは山であり、それは天です。

これが、はっさくの答えです。

神話だけでは、たどり着けない終着です。

古代の人々が、どんな気持ちで、何を行ったか、寄り添った結果です。

神話しか知らなかった頃は、

黄泉比良坂を、駆け上がって逃げるイザナギを想像しましたが、

駆け下りるが、正解でした。

木々が生い茂る山の上の方から、降りれるルートを必死に探したのでしょうね。


猪目洞窟は古代の集団墓地でしょうか。

猪目洞窟の辺りに鵜鷺うさぎという地区があります。

口伝では、大国主命はうさぎの穴で渡来人に亡き者にされたとあります。

はっさくは、この鵜鷺うさぎ地区だと思っています。

さぎも鳥です。

大国主命の尊い魂が、無事天に行けますようにと、後から鵜鷺と名付けたのでしょうか。


因幡の白兎伝説も、こうは読めないでしょうか。

実は、兎でなく、鵜鷺なら…

医学に秀でた大国主命が、瀕死の命を救う。

つまり、大国主命は、生死を操ることのできる(鳥を操れる)神ということ。


考古学と記紀神話、さらに口伝と、たくさん存在する古文書。

全て真実でもないし、すべて嘘でもありません。

古代の人々の考え方が分かれば、謎は解けていくものです。

みなさんも一緒に、古代日本を知る旅に行きませんか?

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