【黄泉の国】オオクニヌシと正妻スセリビメ~スサノオの試練~

出雲の神様
こんにちは、はっさくです。
今回は黄泉比良坂(よもつひらさか)に行ってきました。
この世とあの世の境と言われている場所です。

神話では、根の国に通じる所です。
根の国とは、死後の世界で地下にあるとされています。

黄泉比良坂は、イザナギが死んだイザナミに会いに行く話と
オオクニヌシが八十神から逃げて、スサノオのいる根の国に行く話の中に出てきます。

今回は、スサノオの試練とオオクニヌシを深堀りしていきたいと思います。

オオクニヌシが乗り越えたスサノオの試練

根の国に逃げ込んだ大穴牟遅おおなむぢ(後のオオクニヌシ)は
スサノオの娘スセリビメに出会い恋に落ちます。

そこでスサノオに「立派な神がいらっしゃいました」と大巳貴命を紹介します。
しかしスサノオは、大穴牟遅に厳しい試練を与えます。

1蛇のいる部屋
 蛇のいる部屋に閉じ込められたが、スセリビメからもらった呪力を持つ布で追い払う。

2ムカデと蜂のいる部屋
 ムカデと蜂のいる部屋に泊まるよう言われたが、こちらも同じ呪力を持つ布で追い払う。

3炎の野原
 野原に放った矢を取って来るよう命じられたあと、火を放たれ万事休すと思われたが、ネズミが現れ洞穴があることを教えられる。そのネズミは放たれた矢も持ってきた。

4頭髪のムカデ取り
 スサノオの頭髪のシラミを取るよう言われたが、シラミではなくムカデだった。スセリビメからもらった木の実と赤い粘土を使い、ムカデを噛み殺しているよう見せかける。
     

スセリビメのちから

いくつかの厳しい試練も、スセリビメの助けによって乗り越えていきます。
オオクニヌシのことが、とても好きだったんでしょうね😄

この神話から何が考えられるでしょう。
はっさくの考察に入ります。

スセリビメはスサノオの娘とされていますが、
国譲りの際に、後継は五代までと言われたことから
スサノオの六代後の姫ということになります。
そして、オオクニヌシはスセリビメと結婚することによって
スサノオ一族に婿に入ることになります。(オオクニヌシはスサノオの子としている所もあります)

スサノオの試練は、成年の儀式とされていますが
スサノオ一族に入るための精査だったのではないでしょうか。

六代後ということなので、スサノオ勢力も出雲のみならず広がっていたでしょう。
その頃は小国がたくさんありました。
各国のスサノオ一族に婿として認められる必要があったと思われます。

蛇の試練が象徴するのは、龍神信仰(ウミヘビのこと)のスサノオ一族を制したということではないでしょうか。

洞穴に隠れて火をかわした試練は、地下にある根の国の勢力(スサノオが住んでいるとされている)に、自ら入ったということかなと考察します。

そこで疑問が浮び上がりました。

「婿入りしただけなのに、なぜ一族の長になれたのか」

実は、スセリビメが一族の直系で
絶大な権力と富をもっていたのでは?

試練の最後に、刀と弓と琴を持って逃げてくるという記述は
武と財を、スサノオ勢が支援するという確約を得たということではないでしょうか。

大穴牟遅って、人格者のように見えて実は「野心家」だったんでしょうね。
スセリビメを正妻にしたのですから。

国譲り後のオオクニヌシとスセリビメ

物語では、仲良く暮らしたとありますが
国譲り後、正妻の地位を奪われます。

タカミムスビの娘ミホツヒメ(天孫族で大和勢)を嫁に迎え、オオクニヌシは喜んだとあります。
これは大和側からの押しつけであったと思われます。
ミホツヒメを正妻にさせることで、オオクニヌシとスセリビメを分断させました。
そしてスセリビメは唐王神社に一人祀られています。
三度も引っ越しして落ち着いた地なのだそうです。

もし、正妻が変わらずスセリビメであったのなら
大和に兵を挙げ戦うこともできたのではないでしょうか。

つまり、絶大な力を持っていたのはスセリビメで
大和の監視下に置いてないとまずい人物だったというのが
この神話から読み解けます。

スセリビメあってのオオクニヌシだったのでした。

終わりに

今回は、有名なスサノオの試練の話からスセリビメの偉大さを読み解いてみました。
あくまでも、はっさくの考察なのですが…

オオクニヌシには、たくさんの嫁がいましたが
一番大切にしていたのはスセリビメだったでしょう。
富と権力を抜きにして、一番に愛情を注いでいたと思いたいです。
最終的に一人にされてしまったスセリビメが信じた唯一の人だから。

富と名声、権力と愛
古代にも素敵なロマンが存在します。
有名な神話も、角度を変えて読めばロマンとワクワクが詰まっています。
みなさんも、古代のロマンに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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