【熊野大社】出雲祖神スサノオと出雲国造 3つの神社が関わる神事【鑽火祭】

出雲の神様
こんにちは、はっさくです。

今回は、熊野大社に行ってきました。

この神社、神事が独特です。

「鑽火祭さんかさい」という神事の内容が面白いものなので、はっさくの考察を入れつつ、皆さんにご紹介しようと思います。

熊野大社の鑽火祭

熊野大社 鑽火殿
熊野大社の「鑽火祭」は、出雲大社の「古伝新嘗祭」で用いる火をおこすための

「火きり臼」と「火きり杵」を出雲国造が受け取りに行くという神事です。


何が面白いの?って思いましたか?

いえいえ、熊野大社と出雲大社の国造のやりとりが面白いのです!


亀太夫神事(鑽火祭の通称です) 
  「火きり臼」と「火きり杵」はスサノオが伝えたとされています。


出雲大社の禰宜さん(宮司の次の役職)が火をおこす道具を借りにきます。

タダでは借りれないので、四角い餅(神餅)を持参します。


熊野大社側は亀太夫という下級職(亀はスサノオを表現)が相手をします。


「神餅」は四つ作って一番良いものを持ってきています。

「神餅」を挟んでやり取りが始まります。


神餅の前で出雲大社は頭を下げ、貸してもらうまで頭を上げれません。


対して亀太夫は「神餅」に、いちゃもんをつけるのです(笑)

「色が黒い」
「つぶつぶがある」
「角が丸い」
そして極めつけに「作り直せ」…


出雲大社は頭を下げたまま…


散々、悪態をついた後(笑)
 「作り直すのは時間的に無理でしょう。」
  と亀太夫は折れます。

最後に、時事に関したことの条件に出します。
 「コロナに打ち勝つために祈りを捧げよ。」(など、毎年変わります)

 「約束してくれますか。」

約束を条件に「神餅」を引き取ります。


ね、面白いでしょ(笑)   

出雲国造の祖 天穂日命

この神事、出雲国造にとっては重要な意味があります。


出雲国造は生き続ける

出雲国造が危篤になると、使者が神魂神社かもすじんじゃへ送られます。

「神火相続おひつぎ」という神事の準備をします。


ご遺体は衣冠を整え、正しく座り、食膳が供えられます。(生きているように見せかける)

この間、出雲国造の嫡子は裏門から出ます。


熊野大社の鑽火殿でおこした火を使い作った斎食を食べて

新国造が生まれます。


「火」は天穂日命の「」を表します。


出雲国造の祖「天穂日命あめのほひのみこと」は国譲りの際、

高御産巣日神たかみむすびのかみ(高天原の最高司令神)の命で、出雲へ行くがオオクニヌシに懐柔されます。(大和側から見れば裏切り者と書かれても仕方ないです)

アマテラス側(大和側)でありながら、スサノオ側でもあるという複雑な立場であります。


熊野大社の神事から考察すると、

亀太夫という下級職にも頭を上げれないほど、スサノオを崇拝し

出雲と敵対する大和には、出雲大社を支配する形を見せながら

今まで出雲神を守ってきたのではないでしょうか。


スサノオがもたらした「火」によって転生し、未来永劫スサノオに仕えますという神事だと思います。


出雲大社の「天穂日命」の社は、オオクニヌシと対峙しています。

これは、大和に対して出雲を見張っていますよと

見せているのだと思います。

心はスサノオを崇拝しながら…

スサノオと対峙するアマテラス

これは、日御碕神社のスサノオ社からアマテラス社を見た写真です。

元は、スサノオの社はもっと上にありました。

もちろんアマテラス社は後から造られました。
これは須佐神社のスサノオの社と、対峙するアマテラス社です。

アマテラス社は新しく、鳥居すらありません。


この2つの神社と出雲大社の対峙とでは、全く意味が違うと思います。

大和が出雲神を抑え込もうとしている形ですが、

目一杯、抗っているふうに見えます。


日御碕神社では、アマテラス社を見下ろし

須佐神社でもアマテラス社は高さがなく、

さらに、鳥居を設けない(鳥居の向こうは神域で、それがないということは神ではない)。


なんて、はっさくは感じました。

出雲大社は、神社の中で争いが無いと言えます。

出雲国造が長い間、間に入って守ってきたからでしょうね。

終わりに

スサノオは、ヤマタノオロチ伝説で「治水」
      櫛稲田姫で「稲作」
      亀太夫神事で「火」
を伝えたということが、想像できます。

人間が人間らしく生きるための知恵をもたらした偉大な先人。

出雲国造だけでなく、私達も尊敬する出雲の祖神です。


縄文時代から日本人の心のよりどころで

弥生時代、古墳時代になってから

新しい神様がやってきても、ずっと人々の心にあり続けた出雲の神様。


そんなことを少しだけ思いながら、出雲の神社に参拝してみてはいかがでしょうか。

きっと、古代日本の人達の祈りと重なって

神様に想いが届くでしょう。

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